渙は亨る 王有廟に仮る 大川渉るに利し貞しきに利し
渙は通じる。王が宗廟に祭る。大事を行っても良い。しかし貞しきことを守るがよい。
渙は、散る、解ける、離れる事である。いかに堅くむずび就いてものも、いつかは解ける。だが解けたまま放置しておけない。
40 雷水解は、解決した以上余計な事はするなという意味だったが、風水渙は解けた後をいかに守るか、離散を防ぎさらなる結束を固めるにはどうすればいいか、が主眼となる。
悩み事が解消するとみるか、油断すると離散の虞があると判断するかで180度違う判断となる。各爻がそれぞれのヒントを示しているのでそれをで判断するしかない。
「王有廟に仮る」は45沢地翠と同じで、人が集まるという意味。風水渙では、どちらかというと人を集めるの方。人心を集める。
序卦伝 「説(よろこ)びて後にこれを散らす。故にこれを受くるに渙をもってす。渙とは離るるなり。」
三陽三陰なので八方塞がりの天地否からやってきたとも見ることができる。
①気がかりことが解消する。
②足場を固めること。
③悩み事と一緒に緊張まで失うと何もならない。
各爻
初六 用いて拯(すく)うに馬壮なれば吉
馬を走らせ救おうとするが馬が強壮であれば良いことになる。吉。馬は九二。自力では救済できない。他からの援助ありて幸あり。
難問が解決し、つい木がゆるみまた新たな悩みに直面する。だがすぐに手を打てば、まだ解決する力は備わっている。
変 61䷼風沢中孚 心の中に誠さえあれば、いかなる難題も解決できる。
九二 渙其の机(き)に奔る 悔亡ぶ
離散するときに速やかに身を案じる所に行く。自ら後悔することはなくなる。目上の援助を求めることである。中の徳。五爻に助けを求める。早いほど良い。吉報あり。水難の恐れ。
結束が崩れ離散の虞(おそれ)がある。皆の気持ちを引き寄せることが先決である。急いで行えば悔いはない。
変 20 ䷓風地観 周りを観察しながら自戒を忘れない。周りは見ている。
六三 其の躬を渙(ち)らす悔なし
利己心を投げ出して人のためにつくす。後悔しない。己を捨てて人に尽くす。粉骨砕身して人のためにつくす。
散逸を防ぐには自分のことを後回しにして、まず相手の立場で考えること。
変 57 ䷸巽為風 散る時は散るがよろしく、今さら案ずることはない。
六四 その群れを渙(ち)らす 元吉 渙らして丘(あつま)ること有り 夷(つね)の思うところあらず
私党や徒党を解散すれば同志が集まってくるものである。これが本当の大同団結である。之は普通の人が良くなし得ることではない考えおよばないものである。吉。一つにまとめる。
欲を捨てれば、捨てるほど人も物も集まる。意見の違いを乗り越えて団結し、思いのままに事は運ぶ。大いに吉。
変 6 ䷅天水訟 自分だけが正しいと考え、もし強引に争うと行き詰まる。
九五 渙のとき其の大号を汗す 渙のとき王居を咎なし
離散に直面して王は一新のために大号令を発して変更することがない。困難を離散し王位は災いはない。安泰である。号令ひとたび出れば反らざること汗の如し。衆望がある。渙は洪水の意あり。
離散を防ぐには、信頼なしで力だけでは限界がある。無心になれば、道は開く。
変 4䷧山水蒙 虚心に立ち向かう時である。誠意は相手に伝わる。
上九 其の血を渙らし去りて逖(とおくに)出ず咎なし
障害を受けて流血した。去って遠くに逃げれば災いはない。危険を逃れる。退きやすきに就くがよい。
険難の渦中から抜け出すには、要望を散らすしかない。核心から離れることで、悩みは解消する。
変 29䷜扻為水 場所を移さない限り、険難の流れをせき止めることはできない。
互卦 27䷚山雷頥
綜卦 60䷻水沢節
錯卦 55䷶雷火豊
占いキーワード
愁いまたは喜びが消散するとき。援助有り。
商売では、
難航していたものは解決に向かう、逆にまとまりそうな契約は破れる。仲間割れや突然の解散が起こりやすいので早く切り上げた方がよい。内部にも難しい問題がある。遠方からの取引もある。勝負は勝ち。
恋愛では、
今まで相思相愛だったものは、新しい局面を迎え乱れる。逆に、二人の関係が上手くいかなかったものはその愁いがなくなり、楽しい関係となる。結婚は再婚がよい。遠方よりおもわぬ話が舞込む事がある。
病気では、
軽傷は早く治るが、重症は危ない。
無くし物
出ない。遠くに行ってしまった。
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