047 Aは、その所有する甲土地のBへの売却をBとの間で仮装した。その後、Bが当該仮装の事実について善意無過失のCに甲土地を譲渡した場合において、Aは、Cに対し、虚偽表示を理由に、甲土地の返還を請求することができない。
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048 AとBが通謀して、A所有の土地をBに売却したかのように仮装したところ、Aは、売買代金債権を善意のCに譲渡した。Bは、土地の売買契約が無効であるとして、Cからの代金支払請求を拒むことはできない。
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049 AがBと通謀してAの所有する甲建物をBに売り渡した旨仮装しAからBへの所有権の移転の登記をした後、Bは、Aに無断で、AB間の売買契約が仮装のものであることを知らないCに甲建物を売り渡した。この場合、Cは、Bから所有権の移転の登記を受けていなくても、Aに対し、甲建物の所有権を主張することができる。
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050 Aは、Bと協議の上、譲渡の意思がないにもかかわらず、その所有する甲土地をBに売り渡す旨の仮装の売買契約を締結した。BはA・B間の協議の内容を知っているFに甲土地を転売し、さらに、Fはその協議の内容を知らないGに甲土地を転売した。そこでAは、Gに対し、A・B間の売買契約の無効を主張した。この場合、判例の考え方に従うと、Aによる売買契約の無効の主張が認められる。
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051 相手方と通じて債権の譲渡を仮装した場合において、仮装譲渡人が債務者に譲渡の通知をしたときは、仮装譲渡人は、当該債権につき弁済その他の債務の消滅に関する行為がされていない場合でも、当該債権譲渡が虚偽であることを知らない債務者に対して当該債権譲渡が無効であることを主張することができない。
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052 A所有の土地について売買契約を締結したAとBとが通謀してその代金の弁済としてBがCに対して有する金銭債権をAに譲渡したかのように仮装した。Aの一般債権者であるDがAに帰属するものと信じて当該金銭債権の差押えをした場合、Bは、Dに対し、当該金銭債権の譲渡が無効であることを主張することはできない。
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053 甲不動産はAとBの共有であるが、登記記録上はAの単独所有とされていたところ、Aは、Cとの間で甲不動産の売買契約を締結し、Cへの所有権移転登記を経由した。AとBの合意に基づいてA単独所有の登記が経由された場合において、甲不動産がAとBの共有であることをCが知らなかったときは、Bは、Cに対し、自己の持ち分を主張することができない。
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054 Aから土地を賃借したBがその土地上に甲建物を建築し、その所有権の保存の登記がなされた後に、甲建物についてBC間の仮装の売買契約に基づきBからCへの所有権の移転の登記がなされた場合において、BC間の売買契約が仮装のものであることを知らなかったAが賃借権の無断譲渡を理由としてAB間の土地賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたときは、Bは、Aに対し、BC間の売買契約は無効であり、賃借権の無断譲渡には当たらない旨を主張することができる。
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055 AのBに対する意思表示を錯誤により取り消すことができる場合にあっても、その意思表示によって生じた契約上の地位をAから承継したCは、錯誤を理由としてその意思表示を取り消すことができない。
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056 甲乙間の売買契約において、甲の錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものである場合に、甲の錯誤が重大な過失に基づくものである場合、甲は売買契約の取消を主張できないが、乙は取消を主張できる。
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057 AのBに対する意思表示が、法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤によるものであり、それが法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものである場合には、Aは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときでなければ、錯誤を理由としてその意思表示を取り消すことができない。
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058 Aは、その所有する甲土地を錯誤によりBに売却した。その錯誤がAの重大な過失によるものであった場合であっても、BがAの錯誤を認識していたときは、Aは、錯誤を理由として、Bとの間の甲土地の売買契約を取り消すことができる。
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059 相手方が資産家であると誤信し、それを動機として婚姻をした場合には、その動機が表示され、意思表示の内容となっていたときであっても、その婚姻について、錯誤による取消を主張することはできない。
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060 Aは、Bから彫刻甲を著名な彫刻家Cの真作であると信じて購入したが、実際には、甲は、Cの真作ではなかった場合、Aは、甲がCの真作であるという錯誤に陥っているが、Aは、甲を買う意思でその旨の意思表示をしているので、意思と表示の不一致はなく、動機の錯誤が問題となる。
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061 動機の表示は黙示的にされたのでは不十分であり、明示的にされている必要がある。
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062 AのBに対する意思表示がされ、その意思表示によって生じた法律関係について、Bの包括承継人ではないCが新たに法律上の利害関係を有するに至った後に、その意思表示がAの錯誤を理由に取り消された場合において、錯誤による意思表示であることをCが過失により知らなかったときは、Aは、Cに対し、その取消を対抗することができる。
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063 AのBに対する無償行為が錯誤を理由に取り消された場合には、その行為に基づく債務の履行として給付を受けたBは、給付を受けたときにその行為が取り消すことができるものであることを知らなかったときは、その行為によって現に利益を受けている限度において返還の義務を負う。
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064 AがBからC社製造の甲薬品を購入した場合において、Bは、C社の従業員から甲薬品はガンの予防に抜群の効果があるとの虚偽の説明を受け、これを信じてAに同様の説明をし、Aもこれを信じて甲薬品を購入した場合、Aは、Bとの間の売買契約を取り消すことができる。
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065 AがBに欺罔されてA所有の土地をBに売却した後、全無過失のCがBからこの土地を買い受けた場合、Aは、詐欺を理由としてAB間の売買契約を取り消すことはできない。
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066 Aは、その所有する甲土地のBへの売却がBの詐欺によることに気づいた後、甲土地の売買代金債権をBの詐欺につき善意無過失のCに譲渡した。この場合において、Aは、Bの詐欺を理由に、Bとの間の甲土地の売買契約を取り消すことができる。
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067 A所有の土地にBの1番抵当権、Cの2番抵当権が設定されており、BがAに欺罔されてその1番抵当権を放棄した後、その放棄を欺罔を理由として取り消した場合、Bは、善意無過失のCに対してその取消を対抗することができる。
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068 AがBからC社製造の甲薬品を購入した場合において、Aが、C社の従業員から甲薬品はガンの予防に抜群の効果があるとの虚偽の説明を受け、これを信じて甲薬品を購入した場合、Bがその事情を知り得なかったときでも、Aは、Bとの間の売買契約を取り消すことができる。
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069 甲が土地を乙に強迫さえて譲渡し、更に乙が事情を知らない丙に転売し、それぞれ所有権移転登記を経由した場合、甲は乙に取消の意思表示をすれば、丙に対し、その登記の抹消を請求することができる。
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070 Aがその所有する甲土地についてBとの間で締結した売買契約をBの強迫を理由に取り消した後、Bが甲土地をCに売り渡した場合において、AからBへの所有権の移転の登記が抹消されていないときは、Aは、Cに対し、甲土地の所有権の復帰を主張することはできない。
071 Aは、Bの代理人として、Cとの間で金銭消費貸借契約書及びB所有の甲土地の抵当権を設定する旨の契約(以下両契約に合わせて「本契約」という)を締結した。本契約がAのCに対する詐欺に基づくものである場合、Bがこれを過失なく知らなくても、Cは、本契約を取り消すことができる。
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072 甲がその所有に係る土地を乙に騙されて売り渡し、その後契約を取り消す旨の手紙を出したが、その到達前に甲が死亡した場合、取消の効果は生じない。
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073 意思表示の相手方が当該意思表示を受けた時に未成年者であった場合でも、その法定代理人が当該意思表示を知った後は、表意者は当該意思表示をもってその相手方に対抗することができる。
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074 法人に対する意思表示を当該法人の使用人が受けた場合において当該意思表示が効力を生ずるためには、当該使用人が当該法人から当該意思表示の受領権限を与えられていなければならない。
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075 未成年者甲の法定代理人乙から甲において土地を買い受ける旨の申し込みを受けた丙が、土地を売り渡す旨の意思表示を直接甲にしたときは、契約の成立を主張することができない。
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