5章 代理

宅建士

委任契約+代理権授与が必要

108条(自己契約及び双方代理等)

 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

双方代理は原則禁止 例外:事前に許諾を得ている。

             登記申請=生み出された権利義務の後始末をしているだけ。

任意代理 本人が死亡した⇒権利能力がなくなる⇒代理の要件を満たさなくなる

     代理人に後見開始審判⇒代理権なくなる。自分のことさえままならない。

     本人が後見開始審判⇒代理権はそのまま

     代理人が破産⇒代理権なくなる。他人の財産は預けられない。

     本人が破産⇒代理権なくなる⇒破産管財人が登場し、一括管理

法定代理と違う点 本人が破産した場合の法定代理人はかわらない。(未成年⇒親)

107条(代理権の濫用)

 代理人が自己または第三者の利益を計る目的でダリ権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。

代理の要件を満たしているので、原則として効果帰属。(そんな人を選んだ本人にも責任)

ただし、相手方は悪意だったなら、保護の要請が落ち、無権代理として処理する。

顕名(A代理人Bとかを名乗る) しなかった場合は無権代理

                ただし、相手方が悪意・有過失だと顕名ありの状態

101条(代理行為の瑕疵)

 1 代理人が相手方に対してした意思表示の効力が為地の不存在、錯誤、詐欺、強迫又はある事情を知っていたこと若しくは知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

 2 相手方が代理人に対してした意思表示の効力が意思表示を受けた者がある事情を知っていたこと又は知らなかったことにつき過失があったことによって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は、代理人について決するものとする。

 3 特定の法律行為をすることを委託された代理人がその行為をしたときは、本人は、自ら知っていた事情について代理人が知らなかったことを主張することができない。本人が過失によって知らなかった事情についても、同様とする。

A代理人B 売買契約 D代理人C   Cが無権代理だった場合

代理人を基準にして決める。例外:①本人が悪意・善意かつ過失がある状態

                ②特定の法律行為の委託

102条(代理人の行為能力)

 制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によって取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。

詐欺を受けたのかどうかも代理人で決める。

詐欺されたら、取消権発生。ただし、取消権は本人が持つので注意。

代理人が詐欺した。取消権発生。

本人が詐欺した。取消権はない。

法定代理人が保佐開始決定を受けた⇒法定代理人ならば取消権。

復代理⇒Bの代理権が消滅すれば、Cの代理権も消滅する。

    任意の場合は復任権なし。ただし、本人の許諾・やむを得ない事情あるときはOK

    法定代理人は常に復任権あり。

復代理を選んだBはCが損害を出した場合、なにがあろうと責任を負う。ただし、病気などやむを得ない事情で選んだ場合は、過失責任として落ち度があった場合のみ。

使者⇒裁量権がなく、言ったとおりにやるのが使者

追認すれば効果帰属で、追認拒絶で不帰属。催告して、無視すれば不帰属。

追認拒絶、催告に対して確答しなかった場合、その後、無権代理人の責任(第117条責任)の追求ができる。

取消権=なかったことにしてくれの意思表示⇒責任追及に向かわない。

相手方の主観的要件比較

相手方善意無過失 善意有過失悪意
催告(114)
取消権(115)×
責任追及(117)×(※)×

※相手方に過失があったとしても、他人の代理人として契約した者が事故に代理権がないことを知っていた時は、117条の責任追及が認められる。

113条(無権代理)

1 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。

2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、その限りではない。

パターン

本人A            ①A⇒B追認

↓            ②D⇒取消

無権代理B  ⇒  相手方D ③A「既に追認している」の主張はできない。

パターン 無権代理人B  ←責任追及?← 相手方C 善意・過失あり

Cが善意・過失ありの状態でも、Bが悪意であれば117条責任の追及を認める。

117条(無権代理人の責任)

 1 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得た時を除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。

 2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

  ①他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。

②他人の代理人として契約した者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りではない。

  ③他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

パターン

明示又は黙示の、一方的意思表示によってする。

本人が相手方に対して無権代理行為から生じた債務の履行を請求した場合

①黙示の追認があったものと認められる。

②法廷追認の類推適用は認められない。

 法定追認は「有効な行為を確定的にする行為」には適用されるが、無権代理の追認のような「効果帰属しないものを、効果帰属させる」ものには適用できないとしている。

パターン 無権代理と相続の問題

乙が父親で、無権代理人甲が馬鹿息子、丙に親に黙って土地を売ってしまった。

乙は追認権・拒絶権が発生。その後、売買の事実を知り亡くなった。

相続によって、土地所有権は馬鹿息子の無権代理人甲に降りてくる。追認権・拒絶権も降りてくる。

馬鹿息子甲が、拒絶した!

判例は地位融合という理屈で処理する。つまり本人の立場と無権代理の立場が同じ人に行ったら、それが合体して有効になる。

応用パターン 

法律効果は追認拒絶で決まり。

信義則に照らして、甲には拒絶権はない。Xには追認権・拒絶権がある。

無権代理人甲が亡くなった場合、信義則に基づき被害者乙には拒絶権がある。
ただし、117条責任を相続している。嫌なら相続放棄。

109条(代理権授与の表示による表見代理等)

 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人がダリ権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

112条(代理権消滅後の表見代理等)

 他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかった時は、この限りでない。

110条(権限外の行為の表見代理)

 前条第1項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

761条(日常の家事に関する債務の連帯責任)

 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。

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