鼎は、大いに(吉にして)亨る。

直前の䷰沢火革で行った改革が鼎で完成する。鼎で煮ることで、生ものも固いものも、いずれ口当たり良くすることができる。素材に手を加えて優れたものにする、あるいはトラブルを調整する意味もある。賢者を養い、部下を育てる意味も含まれる。昔から料理をするとは「煮る」ことである。
フロイトと袂を分かち「集合的無意識」という概念を打ち出したユングが易に精通し英訳したときに占って出た卦が鼎の初爻変火天大有にいくだった。古い西洋的な考え方を捨て東洋の哲学を紹介する意義を見いだした。易は西洋諸国で圧倒的に受け入れられている。
各爻
初六 鼎 址(あし)を顚(さかしま)にす 否を出すに利し 妾を得て其の子以てす 咎なし
鼎の脚をさかさまにして古い悪いかすを出してしまう。側室を得て男子を産む。跡継ぎがあり咎なし。旧事を解決する。予備がある。一から新たに調達する。故きを捨て去り、こだわり捨てないと好転しない。
変 14䷍火天大有 大いなる所有、結束、培養の時である。無心に取り組むなら、計算しがたい力が働き、大いなる成果が生まれる。
九二 鼎に実あり 我が仇 疾(にく)む有り 我に即くこと能わず吉
丁の中に食物がある。自分を嫉妬する者が病にかかって来ない。自分に近づいてきて感染しない。結局は吉となる。内容を固める。
方針は間違っていない。あまり神経質にならぬ方がよい。
変 56䷷火山旅 自分の意のままにならず、難しいことが多い。しかし進むなら、意外なチャンスが待ち受けている。
九三 鼎の耳革(あらた)まり その行(みち)塞がる 雉の膏(あぶら)食わず 方(まさ)に雨ふらんとして悔をかく 終りに吉なり
鼎の耳がとれてしまって持ち上げて運べない。美味の雉の肥肉を食べることができない。しかしたまたま雨が降って陰陽二気がまじりあい後悔することもなくなるであろう。修復して終りは吉。機の熟するのを待つ。才智あるも認められない。
難題が山積しているが、最後には通じる。
変 64䷿火水未済 未だならず、未完成。しかし未完は、完成より却って未来がある。このまま進むならいつか到達する。
九四 鼎 足を折り 公の餗(こながき)を覆す 其の形 渥(あく)たり凶
鼎の脚が折れて、中に入っている公のご馳走がひっくり返ってしまった。大失態であり、重刑に処せられる。凶。初六を登用して失態。任に耐えられない。小人と親交を結んだからである。凶。協調性がないので挫折する。
油断すると一気に崩れる。大役に押し潰されそうで危うい。
変 18䷑山風蠱 安逸におぼれるとつい自分を見失いがちとなる。
六五 鼎 黄耳あり 金鉉あり 貞に利し
鼎に黄金で作った耳があり、金の飾りのつるがある。堅固でめでたい。貞正にするがよい。九二と応爻。堅実に進んで吉となる。
苦労が報われる。素直に他人の言葉に耳を傾けるなら、益々好調となる。
変 44䷫天風姤 異質との出会い、未知との遭遇、これにより転換となるきっかけが思わぬ方向から表れる。
上九 鼎 玉鉉あり 大吉 利ろしからざるなり
鼎に宝石の飾りのつるがある。大吉で万事に吉。功をなし、信頼される盛運吉。
世間が改めて見直す。大吉。
変 32䷟雷風恒 ますます勢いは盛んとなる。継続は力である。案ずることはない。
互卦 43䷪沢天夬
綜卦 49䷰沢火革
錯卦 3䷂水雷屯
占いキーワード
新規の事をなすによい。友人を得る。改良工夫をこらすとき。引き立てあり。
商売は、
新しい方針を打ち出して良い。三人でやるとよい。多くの意見を尊重してよい案ができる。小さな事にこだわらない方がよい。宴会が多く、金銭の出費も多い。話が煮詰まって順調にいく。勝負は勝ち。
恋愛は、
一般に激しい。趣味も気も合う探し求めていた恋。たすけ合ってゴールインは近い。強力なもう一人の男性が出てくる恐れがある。嫉妬することがある。手紙のトラブルがある。互いに話し合って次第に親密さが増してくる。結婚は良縁であるが、別の縁談が持ち上がってくることがある。経費は係る。結婚後は安定した家庭となる。互いに協力して新しい生活設計ができて楽しい。生活の環境が変る事が多い。どちらかというと、派手になりやすい。家族の協力は得られる。
病気は、
熱があり、治療法を再検討した方が良い。不摂生で治りが遅いこと多い。
なくし物
時がたって出てくるが、形が変っている。
この記事へのコメントはありません。