兌は、亨る。貞しきに利ろし。
兌は、説なり。剛中にして柔外なり。説(よろこ)びてもって貞なる利ろし。ここをもって天に願い人に応ずるなり。説びてもって民に先だったときは、民その労を忘れ、説びてもって難を犯すときは、民その死を忘る。説の大いなる。民勧(すす)むかな。
象に曰く、麗沢(りたく)は兌なり。君子もって朋友講習す。
序卦伝 説びて後にこれを散らす。故にこれ受くるに渙をもってす。
末広がりの八と人の口から息を吐き出すのが、兌という字。喜びは隠せない。(一方、怒りは横隔膜の下に隠すことができるという)口を開けて笑う。よろこんで話すという意味。
人なら若い娘、動物なら羊、苦笑や冷笑ではなく屈託のなり宥和な喜びの笑顔。
柔和な末娘は人を喜ばす、人気者である。人の安らぎを与え、共に助け合う。
自分が喜ぶより、相手をいかに喜ばせるかにある。
和兌=自分より皆を優先する。
孚兌=誠心誠意相手のことを考えて喜ぶ。
来兌=へりくだって相手を喜ばす。
商兌=したたかに計算した上で相手を喜ばす。お世辞。
引兌=一歩引き下がって控えめの喜ぶ。
口は災いのもとでもある。
①楽しみがもたらされる。
②楽しいから笑うのではなく、笑うから楽しくなる。
③楽しみは、わかち合うことでますます楽しくなる。
各爻
初九 和して兌ぶ吉
和して同ぜず吉。心から一致して不同雷同しない。潔白である。人と和して悦ぶ。
変 47䷮沢山困 困窮の真っ只中にいながら、毅然としてその道を楽しむ。
九二 孚ありて悦ぶ。吉にして悔亡ぶ
誠をもって共に悦ぶ。吉であって後悔はなくなる。中の徳。晴天白日。
変 17䷐沢雷随 自分が相手に虚心に従えば、自然に相手も自分に従う。
六三 来たりて兌ぶ凶
巧言をもって悦ばす。凶。迎合する者と喜び交わる。凶。口車にのる危険。自然の喜びでない。
変 43 ䷪沢天夬 沢の堤が決壊し、今にも溢れかえろうとしている。
九四 商(はか)りて悦ぶ未だ寧(やす)かあらず、介疾(かいしつ)喜有り。
あれにしようかこれにしようかと二股をかけて落ち着かない。かさぶたのような病が全快し喜びがある。二兎追う者は一兎も得ず。小事は吉。
変 60䷻水沢節 止まってよく観察する。程合いをきかせて節度を守る。
九五 剝を孚とす厲(みが)うき有り
邪心をもったものを信頼すれば欺かれ、危険である。用心するがよい。剝は上六。気をゆるして間違い失敗する。色欲に注意。
変 54䷵雷沢帰妹 最初に無理をすると、いずれそのしわよせがくる。悔やむ。
上六 引て兌ぶ
巧言令色の徒にひかれ喜ぶ。虚飾の誘惑。争いに注意。
変 30䷉天沢履 柔よく剛を制す。邪心のない悦びは無頼の力を発揮する。
互卦 37䷤風火家人
綜卦 57䷸巽為風
錯卦 52䷳艮為山
占いキーワード
小事に喜びあり。口論に注意。誘惑あり。
商売では、
大事はむずかしい。口舌の禍いがあるので注意。成立しても1/3は不満足。相手も抜け目なく、うまい話に乗ると損をする。新規の事は避けた方がよい。再交渉になることが多い。
勝負は負け。
恋愛では、
おしゃべりを楽しむが、ちょっとしたことから傷つく。偶然の事が起こる。誘いが2つあり迷うし、争いも起こる。情交も激しいが、一時的な楽しみに走りやすい。十分満ちたりることは難しい。結婚は調いそうで途中で破れる。吉であるがまとめる時が難しい。
再婚は吉。口舌で誤解され争うことになる。女性上位であり、よほどの交わりがないと破れる。
病気は、
口の中の病い、キズが悪化して治りにくい。再発に注意。
失いものは、
出るが遅い。壊れていることが多い。
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