7章 時効

宅建士

第145条(時効の援用)

 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三者取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。

私的自治の原則=期間が過ぎただけでは権利を取得したり、債務がなくなったりしない。

援用という意思表示をすることでできるようにしている。

Cにも独自に援用権がある。

               

 Cに援用権はない。援用しなくても配当は貰えるため。ただし、Bが無資力であれば別の手段して債権者代位がある。Bの援用権を使う。

   

BからCに詐害行為をして、Cが不動産を貰っている。
ただ、AB債権が時効完成している。
この事例では、Bだけでなく、Cにも援用権が認められる。時効の援用をしないと、Aが詐害行為取消でCの不動産の所有権を否定してくる。

一方、もしCが時効を援用すれば、Aは債権者でなくなるので、詐害行為取消ができなくなる。自分の権利が守れるようになるので、Cにも独自の援用権を認めている。

この場合のCは単なる賃貸人

145条(時効の利益の放棄)

 時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。

時効完成前にはできない。悪意である必要がある。

効果時効の利益を放棄した後は、その時効の効果を援用することが許されないが、放棄後新たに時効期間が経過した場合には新たな時効が完成する。
相対性時効の力の放棄の効果は相対的であり、他のものに影響を及ぼさない。

時効の利益の放棄は、単に援用権を捨てる行為にすぎず、そこから次の時効が始まる。

放棄の効力はその人にのみ生じる。他人には影響を与えない。

主債務に起きた事件は、ことごとく保証債務に生じる。(保証債務の附従性)の例外。

時効の更新

時効の進行中にそれを覆すような事情が発生した場合、それまでに経過した期間を全く無意味にすること。リセットする制度

時効の完成猶予

時効完成時点において時効更新措置を執ることが類型的に困難な場合に時効の完成を一定期間猶予する制度。カウントはリセットされない。

147条(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)

1 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一夫効力を有するものによってけんりが確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6ヶ月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。

2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了したときから新たにその進行を始める。

150条(催告による時効の完成猶予)

 催告があったときは、その時から6ヶ月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

権利の確証が得られる事由が発生⇒時効の更新

権利者の権利行使が表れた場合⇒時効の完成猶予

152条(承認による時効の更新)

 1 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。

 2 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権原があることを要しない。

時効完成後に債務の承認をした場合

時効完成につき悪意時効完成につき善意
時効の利益の放棄と扱う    ↓時効の援用は許されない。時効の利益の放棄とは扱えない     ↓信義則上、時効の援用は許されない。

話し合いによる時効猶予

第1行為第2行為第2行為により時効の完成が猶予されるか
「協議を行う」旨の合意「協議を行う」旨の合意時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて5年を超えることができない。
催告催告×初めの催告による時効の完成猶予の効力しか認められない。
催告「協議を行う」旨の合意×催告による時効の完成猶予の効力しか認められない。
「協議を行う」旨の合意催告×協議を行う旨の合意による完成猶予の効力しか認められない。

第2節取得時効

162条(所有権の取得時効)

1 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人物を占有した者は、その所有権を取得する。

2 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

187条(占有の承継)

1 占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有を併せて主張することができる。

2 前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する。

占有開始の時が善意無過失なら途中で悪意になっても併せられる。

取得時効の対象となり得る権利取得時効の対象となり得ない権利
用益物権
賃借権
質権
抵当権
留置権
先取特権

第3節 消滅時効

166条(債権等の消滅時効)

 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

 1 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

 2 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

客観的起算点と時効期間権利行使できる時から10年
主観的起算点と時効期間権利行使できることを知った時から5年

167条(人の生命又は身体の障害による損害賠償請求権の消滅時効)

 人の生命又は身体の障害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第1項第2号の規定の適用については、同号中「10年間」とあるのは、「20年間」とする。

724条(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)

 1 不法行為による損害賠償請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

 ①被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。

 ②不法行為の時から20年間行使しないとき。

 2 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第1号の規定の適用については、同号中「3年間」とあるのは、「5年間」とする。

166条(債権等の消滅時効)

 2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。

消滅時効にかからない権利

①所有権⇒所有権から派生する権利も消滅時効にかからない 物権的請求権、登記手続請求権

②抵当権以外の担保物権⇒所有権は、債務者及び設定者との関係では被担保債権と同時でなければ消滅時効にかからない。第三者取得者及び後順位抵当権者との関係では、被担保債権から離れて20年の消滅時効にかかる。

396条(抵当権の消滅時効)

 抵当権は、債務者及び抵当権設定者にたいしては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。

消滅時効の起算点(客観的起算点)

①確定期限のある債権期限到来時
②不確定期限ある債権期限到来時(債務者の知・不知に無関係)
③期限の定めなき債権債権の成立ないし発生時
④返還時期を定めない消費貸借に基づく半券請求権契約成立時から相当期間経過後
⑤債務不履行委よる損害賠償請求権本来の債権履行を請求しうる時から
⑥解除に伴う原状回復請求権解除時
⑦割賦払い債務(期限の利益喪失約款付債権)1回の不履行があっても各割賦金額につき、約定弁済期到来ごとに順次消滅時効が進行する。債権者が特に残額債務弁済を求める旨の意思表示をした場合、その時から金額について消滅時効は進行する。

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